Beach retreat HAYAMA.
神奈川県葉山町
葉山の穏やかな海辺の街、一色の海岸にほど近い場所にBeach Retreat HAYAMAは静かな佇まいを見せています。
都心から一時間ほどの場所にも関わらず、砂浜や広大な海、豊かな緑、そして町の親密な空気など、景色やライフスタイルの違いは、より一層この場所を特徴あるものにしています。
設計に際して、この生活環境から得られる経験を、建築に反映させる様に意識しました。さらに、自然と建築の統合、自然と人間の協調、調和した雰囲気を生み出すように意図されています。
Beach Retreat HAYAMAは、そのライフスタイル全体において、人々の心を穏やかにし、アウトドアリビングという環境を楽しむことを可能にします。
 
建物の配置に際して、2つのことに配慮しています。第一に、シンボルとなっている二本の既存樹木(桜、松)を残すこと。第二に、「ひとつの」連続的な屋外空間をつくることです。
建物は自然を侵すのではなく、自然を抱擁するような感情を持って慎重に検討し、その結果、二本の樹木と調和したアウトドア・コートを形成することができました。さらに、白い砂と水を加えることで、海岸との結びつきをコンセプチュアルに表現しています。
部屋ごとのつながりは、屋外を介しているため、アウトドア・リビングという発想をより強く意識出来るようにしています。3つのレベルのウッドデッキを介して広がる様々な屋外空間は、船のような繋がりを生み出します。
結果として、屋外空間がメインスペースとなり、建築で囲われた内部空間よりも重要なものとなります。
 
建物は大きくふたつのヴォリュームに分けられ、これらを半屋外の空間がつなぐ構成をとっています。切妻屋根は、日本らしさと、建主の故郷であるアメリカの納屋の記憶の両方を表現しています。ところどころに見える木造の構造体は、自然の素材と色だけでなく、あたたかさと、荒削りの雰囲気もつくり出しています。
また、木のサイディングや、モルタルの床、露出した梁などは、くつろげる、ゆったりとした雰囲気を醸し出すのにどれも不可欠な要素となります。
至る所に使われている、全開口の木製折戸やウッドデッキは、屋内と屋外の境界を一層あいまいなものにするための重要な要素となっています。
内部に使われた素材や仕上は、ビーチサイド・リビングを過ごすために適切と思われる選択をしています。
 
建築家にとってBeach Retreat HAYAMAは、人間と自然の関係について考える、ひとつの回答であると考えます。
この恵まれた環境につくられた「場所」が、この場所を訪れる人々を優しく抱擁することを祈ります。
 
 
 
 
 
 
 
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